Antler Crafts

VOICES

石井真介
オーナーシェフ / Sincère
リードシェフ / Chefs for the Blue

人間が生きていく上で、他の生き物を食すのは、本来の生命の維持に必要なこと。弱肉強食と言いますが、実際に他の生き物の命を奪う場面に、僕たちが立ち会うことは稀です。 でもその見えないところにこそ本質があり、それを絶対に忘れてはいけないと思います。

小野寺さんに最初にお会いしたのは2014年8月の大きなイベントの時でした。ご飯を炊く羽釜に薪をくべながら、自然の話をしました。 その時にいただいた鹿の角のキーホルダーはいまだに使っています。

Sincère がオープンした2016年の冬の寒い日に小野寺さんと山に入りました。僕の想像を超えて、鹿はもちろん、自然に対しての敬意や、命をいただくことへの思いを強く感じました。
”自分たちは駆除という名目で鹿を撃ってはいるが、一頭一頭が大切で無駄な命はない。どんな鹿でもそれぞれ手当てをして美味しくたべる事が命への償いだ”。小野寺さんのこの言葉から考えたことがあります。

人間が生きていく上で、他の生き物を食すのは、本来の生命の維持に必要なこと。弱肉強食と言いますが、実際に他の生き物の命を奪う場面に、僕たちが立ち会うことは稀です。 でもその見えないところにこそ本質があり、それを絶対に忘れてはいけないと思います。

僕のフィールドである東京は、便利すぎて足りないものはありませんが、それが良いものとは限りません。 その後何度も石巻を訪ね、生産者と料理人、生活者の距離や、土地に根付いた食材の文化など、たくさんの学びをもらうとともに、両者のギャップを考えさせられています。

海と山に囲まれた世界は料理人にとっても魅力的な環境ですが、僕は東京生まれの料理人。 今は東京でできる事、伝えられることを精一杯やりたいと思います。