Antler Crafts

VOICES

油井元太郎
フィールドディレクター
公益社団法人MORIUMIUS

山の恵みを獲り、捌いて肉に加工する。さらに消費者に届けるまで一貫して手掛けている小野寺さんにはいつも感動や勇気をもらっています。循環する自然や、そこで営まれる日本人のシンプルで豊かな暮らしをこども達に伝えている我々にとって、小野寺さんの経験や知恵こそ伝えていくべき価値観だと思っています。

宮城県石巻市雄勝町にて築94年の廃校を再生して、こども向けの複合体験施設「モリウミアス」を運営しています。森と海のつながる豊かな自然環境の中で、住民やプロフェッショナルからこども達が自然と共に生きることを学ぶ場として2015年にスタートしました。東日本大震災後にボランティアとして宮城県沿岸部で炊き出しをしたことをきっかけに、雄勝町のこども達との縁が深まり、廃校を再生する活動に発展したのです。小野寺さんとは2015年に友人を通して知りあいました。


Antler Craftsの施設完成の年に、初めて小野寺さんを訪ねました。モリウミアスに滞在するこども達を雄勝町の森に連れて入ってもらい、普段猟師として自然とそこで生きる動物にどのように向き合っているか、歩きながら体感するプログラムを小野寺さんと実施したのです。

「実際に鹿を撃つ前に幾度となく森に入り、鹿がどこを歩き、どのような生活をしているか観察・調査している」
「気配を消す、足音を消す」
「雌鹿が子育てをしている場所には入らない」
「雄勝町にはまだ豊かな自然が残っている」

こども達に語りかけていた言葉が印象的でした。
鴨の羽をむしって捌き、料理するなど、命をいただくことを実感する機会をつくってもらったり、こども達の為にヤマドリを探し、日没間際に仕留めて差し入れてくださったこともあります。
雄勝町での滞在は、小野寺さんの強さと逞しさ、そして優しさや温かさを感じる機会になりました。

自然と共に生きる。そして人が自然の中で暮らすことで自然がより良くなる。そのような価値観をこども達に培ってもらうことを仕事にしている身としては、小野寺さんと過ごした時に感じたことは伝えてゆくべき大切な財産です。受け継いでゆかなければと思っています。